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前回の記事では11月30日に行ったJOY’Nの製品の香りを決めるワークショップについてお伝えしました。
前回記事「みんなでつくる香り。」
その際、施設創設時のお話や施設の現状など、とても貴重なお話を聞かせていただき、
今回の記事ではそのお話についてご紹介させていただきます。
印象的だったある親御さんのお話。
時は63年前のお話です。

 

当時はまだ、今のような障がい者支援施設がない時代。
親御さんは障がいを持ったお子さんと、常に一緒にいる生活をおくっていました。
しかし大きく育ってもらうためにはお金が必要でした。

 

たとえ同じ境遇の方が周りにいたとしても、障がいを持った方への理解がされておらず、自分の子供を隠すほどの時代で、親御さん同士で手を取り合う環境もありませんでした。
家計を支えるために、”ほおずき”や“あさがお”を育てて区役所や施設などで販売したり、工場用のぞうきんとして古着を切ってワゴン車に詰め込み工場に売りに行ったり、たくさん試行錯誤したそうです。
それでもすぐにはうまくいかず、さらに区役所へ苦情を入れられたり、売上は伸び悩み大変苦労したそう。

 

この状況をどうにか良くしたい!
その一心で20年以上、区役所に自分たちの気持ちを訴え続けました。
何度も足繁く通う中、次第に同じ境遇の方々と分かり合えるような環境が出来ていき、またその方々が同志となり、支え合った親御さんの力強い”守る”という気持ちが形となって、20年越しに施設が創設されました。
そして自分や同志の子供たちがのびのびと育ち、働きやすいよう改善していったのが今の台東区にある障がい者支援施設です。
施設を創設し、設備を整え、次の世代へ繋ぐことは容易なことではありません。
そんな貴重なお話を聞かせていただく中で、JOY’Nのブランドテーマでもある”仕事のやりがい”というものについてより深く考えました。
施設創設時のお話をしてくださった方は、次の世代に繋ぐことができたことに達成感を感じていると仰っていました。
そう語る表情はとても明るく素敵な笑顔で、私の頭に残っています。
自分の動きが実際に誰かのため、また社会のためになること、そしてそれが目に見えること、評価されること、それこそが”仕事のやりがい”ではないかと思います。

 

コロナウイルスの拡大は、私たちの生活にたくさんの影響を及ぼしました。
これまでの働き方や働く理由について、多くの人が改めて考えさせられたのではないでしょうか。
仕事は人生の全てではないですが、人生を輝かせる手段の一つだと思っています。
物事は捉え方によって大きく変わってきます。
どんな仕事でも、「楽しい」「うれしい」「ワクワクする」という側面は必ずあると思います。
そんな側面をより多く見出し、その価値を自分が心から感じることができるか。
それが人生をより豊かに幸せに過ごすための力になるのではないでしょうか。

 

JOY’Nは、このプロジェクトに参加してくださっているすべての人に“仕事のやりがい”を目に見える形で感じていただくことを目指して、また、この輪がより多くの人に繋がっていくことを目指して、これからも進んでいきます。
プロジェクトに関わる方々だけでなく、このJOY’Nの製品を手に取ってくれる方々にとっても、”働くこと”について、自分自身とじっくり議論をするキッカケになることを願っています。

 

次回はJOY’Nのパッケージについて。
実際に施設に伺って利用者さんに自由に絵を描いてもらいました!
そのときの様子をお伝えします。

文章:川嵜詩穂・祖谷茜里