加子母(かしも)ひのきが抱えること

岐阜県中津川市の加子母(かしも)地域では「加子母ひのき」と呼ばれる優良木材を生産している。
加子母ひのきは美しいピンクに色がかり、香り高く、均一な木目が特徴。
現在も伊勢神宮の式年遷宮や様々な有名寺社に使用されている最高品質の木材だ。

 

加子母ひのきの山は江戸時代には尾張藩領地、明治に入ると皇室の御料林となり、ひのきは人の命よりも重いほど、厳しく管理されていた。
ひのきを勝手に伐採すると首が飛んだという逸話は「ひのき一本、首一つ」という言葉として、今も語り継がれている。
美しい木目とピンク材と呼ばれるその色、そして豊かな香りを持った加子母ひのきは、古くから神社仏閣や住宅などの建材として重宝されてきた。
▼加子母ひのきの特徴や古来から伝わる伝統についてはこちら▼
「加子母ひのきをブランドに vol.1」

▲加子母ひのき

 

しかし近年、2×4(ツーバイフォー)工法の普及により住宅建材としての木材需要に変化が起きている。
それまでの住宅工法は概ね、軸組工法が主流。
軸組工法は柱と梁からなる工法で、最近は古民家と呼ばれるような住宅だとイメージしやすいのではないだろうか。
柱と梁が目に見える住宅。 100年もつ住宅と言われる。

 

一方、2×4工法は面で家をつくる。
同じ寸法にカットされた木材と合板を組み合わせてパネルをつくり、それぞれ床、壁、天井用のパネル同士を組み合わせて箱を組み立てるイメージだ。
木材はパネルの内側に入るため、目に見えない。
木材の見た目の美しさは重要視されない。
木材の見た目は不恰好でも問題なく、安くて丈夫な木材需要が高まった。
100年もつ住宅より、簡単に組み立てられる住宅。
職人の減少や、昨今の震災もこの傾向を後押ししている。

 

時代の流れの中で、安価な木材需要が高まり、それは国内の林業で働く人々の生活にも大きな影響を及ぼしている。
木の伐採には一定の費用がかかる。しかし木材単価は下がる一方。
木を売って得たお金が、木を切るお金を下回る。そんなことも珍しくないと聞き、大変ショックを受けた。
収入が支出を下回る。しかし山は放っておけないのだ。

 

山は木の密集度が高すぎると太陽の光を十分に取り込めず、木の根が細く短くなる。
すると地滑りが起きやすくなり、山崩れを起こしたり地震の影響を受けやすくなる。
そのため定期的な間伐作業などのメンテナンスが必要なのだ。
一人でも多くの人に「加子母ひのき」の存在を知ってもらい、後世に残していくために私たちに何かできないか。
香りのモノづくりをしているキャライノベイトができることは何か。
「加子母ひのき」と「香り」から生まれる新しいモノづくり。

 

WANOWA「加子母ひのきプロジェクト」としてボディケア商品を開発しよう。
WANOWAをきっかけに、加子母ひのきをより多くの人に知ってもらい、加子母ひのきの歴史と伝統、豊かな香り、そして建材としての素晴らしさを広めたい。
「加子母ひのき」が誰もが知るひのき銘柄となるための、少しでもの後押しができれば。
そんな想いから今回のプロジェクトがスタートした。

 

今回のプロジェクトは、加子母森林組合の皆様のご協力のもと始動した。

▲加子母森林組合の内木さん(左)と安江さん(右)
加子母ひのきを使った商品を実現可能にするにあたり大きな後押しとなったのが、精油の製造に関してだった。
加子母森林組合では、自分たちで精油を製造できる環境が整っていた。
ひのきの精油は主に葉から抽出する。
幹からも取れるが、抽出量が葉に比べて少なく、また貴重な優良材のため建材として使いたい。
新鮮な葉からしか精油は取れないので、伐採現場へ行き、良い枝葉だけを集めて蒸留器にかける。

▲加子母ひのきの枝葉

▲蒸留の様子
葉から抽出された精油も幹同様、とてもいいひのきの香りがする。

 

WANOWAは売り上げの2%を生産者さんへお返しするという仕組みを取っている。
ひのきの枝葉を拾う際、これまで生産者の方のボランティアで行なっていたそう。
WANOWAを多くの人に手に取ってもらうことで、そういったボランティアで動かしてきた部分もサポートしていけるような体制づくりができればと考えている。

 

産地直送のフレッシュな精油を使った、加子母ひのきのボディケア商品!
詳しい商品の説明や特徴は次の記事にてご報告!
続く。

 


現在、加子母ひのきプロジェクトの商品開発にあたり、クラウドファンディングに挑戦しています!
こちらにも加子母ひのきのこと、現在の活動報告、WANOWAの詳しい説明も掲載しております。
ぜひご一読いただき、ご支援のほどよろしくお願いいたします!
▼以下青字または画像をクリックで詳細ページをご覧いただけます▼

加子母ひのきをブランドに!
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文章:遠藤愛実