あなたの好きな香りは何ですか?
お花の香り。柑橘の香り。木の香り。ハーブの香り。コーヒーの香り。お菓子の香り。石鹸の香り。
海の香り。お祭りの香り。森の香り。雨の香り。田舎の香り。お布団の香り。
日常は様々な香りで溢れています。
「あ、この匂い嗅いだことある。」
誰しもある経験ですよね。

 

ふわっと懐かしい匂いがして昔を思い出す。
畳の匂いで田舎の家を思い出したり。金木犀の香りで小学校の登下校を思い出したり。
香水の匂いで昔の恋人を思い出すなんて、ドラマや恋愛エピソードでよく聞く話。
思い出だけじゃなく、匂いが気持ちに影響することもしばしば。
カレーの匂いがして急に食欲が湧いてきたり。
お寺のお線香の匂いで、なんだか清らかな気持ちになったり。
最近ではリラックスや安眠効果のあるアロマが取り上げられたりもしていますよね。

匂いは目には見えないし、言葉ではうまく説明できない不思議なもの。
嗅覚は五感の一つですが、日常の中で嗅覚を強く意識する機会ってあまりない気がします。
私が普段の生活で嗅覚に集中するのは、賞味期限切れを食べれるか判断するときくらい…

 

他の感覚に比べて重要度の低い気がしてしまう嗅覚ですが、
実は五感の中で最も原始的と言われる感覚で、嗅覚だけが唯一、脳のある部分に直接信号を送ることができるんです!

 

「海馬」という言葉を、学校の授業やテレビなどで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
海馬は大脳の中で人間の「記憶」をつかさどる部分です。
視覚、聴覚、味覚、触覚からの信号は、大脳皮質と呼ばれる脳の外側部分を通ってから、脳の内側にある海馬に届きます。
それに対して嗅覚からの信号は、ダイレクトに海馬に届きます。
嗅覚は人の記憶に直結しているということなんです!

 

ちなみに海馬は記憶の短期保存場所。
海馬の中の記憶は、残すべきか捨てるべきかの取捨選択を迫られます。
強い信号ほどその記憶は長く残りやすく、長期保存されやすいそう。
海馬にダイレクトに届く嗅覚からの信号は、他の感覚よりも強く記憶と結びつきます。
匂いを嗅いだ瞬間にパッと記憶が蘇るのは、こういった嗅覚と記憶の強い結びつきが影響しているんですね!
人のからだって不思議です。

 

先ほどのカレーの話。
「カレーの匂いがして急に食欲が湧いてきた。」
食べ物のいい匂いは食欲をそそりますよね!
でもこれはなぜでしょうか?

 

大脳の中の大脳辺縁系と呼ばれる部分。先ほどの海馬もここに属しています。

ここは人の脳の中でも古くからある部分で、記憶だけでなく、本能や感情、自律神経を大きくつかさどっているそう。
哺乳類だけでなく爬虫類や魚にも備わっている、とっても原始的な部分です。

 

大脳辺縁系は嗅脳とも呼ばれるほど、嗅覚と密接な関係にあります。
嗅覚は海馬だけでなく、この大脳辺縁系自体に直接信号を送ることができ、
何の匂いかを認識するよりも先に、心地よいか否か、好きか嫌いかなど、本能や感情を呼び起こすそう。

 

お腹は空いていなかったのにカレーの匂いで食欲が湧いてきたのは、カレーのスパイスの匂いが食欲の本能を呼び起こしたからかもしれません!

実際、スパイスや漢方、植物から抽出したエッセンシャルオイル(精油)などの香りは、それぞれに様々な効果効能があると言われています。

 

香りと脳は切っても切り離せない関係。
うまく香りを使えば、自分の感情をコントロールしたり、空間を演出する一つの手段になります。
相手に自分をどう印象づけるかも、香り一つで変わってきます。
香りをうまく生活に取り入れて、自分の過ごしやすい日常を演出してみてください!

 

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文章:遠藤愛実